図書館の沿革

国立故宮博物院は中国各地を転々とした後に来台し、一時的に台中県霧峰郷に設置されていましたが、民国54年(1965)に「国立故宮博物院」が台北市外双渓に開設されると、最初に器物組と書画組が設置されました。台湾に搬送された図書文献は書画組が管理していましたが、翌年、書画組に図書室と善本書庫が付設され、学術研究の気風を高めるべく、国内外の芸術や文学、史学の書籍及びその他刊行物が編集され、研究や学習用の参考資料として院内職員に提供されました。

民国57年(1968)に「臨時組織規程」が修訂され、それまでの「組」が「処」に改編されると、もともとは職員の参考資料閲覧のために設置された図書室の規模も拡大され、本館1階右側に移転して図書館となり、図書文献処の下に置かれました。各界の研究者が善本古書や清代档案が閲覧できるように開放されたほか、大学・専科学校の文学部または史学部に籍を置く20歳以上の学生の入館も許可されました。民国59年(1970)、図書館はより広い空間を確保するため、博物院本館西側1階に移転しました。図書館の蔵書は現在も拡充されて数量も増加しており、各界の皆さまにご利用いただいています。

民国73年(1984)に行政大楼が落成しました。館内の空間不足を改善するため、図書館は行政大楼南側の1階と2階に移転し、書庫を含めて300坪ほどの広さとなりました。この時期に蔵書も増加し、設備も拡充されたほか、利用者の年齢も18歳以上に引き下げられました。

民国85年(1996)、増え続ける蔵書への対処と、利用者へのサービス向上のため、図書館は新しく建造された図書文献大楼(約4,186坪)へ移転しました。2階から4階に設けられた約1,731坪の閲覧スペースに、300席の閲覧席があり(後に書架が増設されたため、閲覧席の半数ほどが撤去され、現在は約190席となっています。)、図書及び文献の研究と考証という特色を明らかに示すため、名称も「図書文献館」とされました。それと同時に、善本書室と団体視聴研討室、研究室も増設され、デジタルコンテンツの充実にも積極的に取り組むようになりました。このほか、利用者の年齢が満16歳に引き下げられるなど、館舎の空間や設備、サービスの内容も現代の図書館に必要な理念と、目指すべき方向にふさわしいものになりました。 

民国109年(2020)10月中旬から、故宮博物院では展示と文物収蔵空間の調整や改善のために「新故宮計画」が実施されることとなり、図書文献館も一時閉館し、計画に従って主要な館蔵品や稀少な図籍、家具などの設備が、旧国防部陸軍衛生勤務学校跡地の南側に位置する行政園区に搬送されました。その後、数ヶ月の努力を経て、民国110年(2021)1月26日、行政園区で進められていた館舎(開館当初の閲覧空間面積は約450坪45席、3年後に約300坪が増設される予定)の改修工事が完了し、改めて開館しました。

民国110年(2021)2月、「故宮博物院処務規程」が修訂され、院内各部署の機能を強化するため、善本古籍と档案文献の閲覧サービスは、新たに開設された書画文献処が担当することになりました。図書文献館の業務は単純化された後、館名も図書館に戻され、綜合企画処の下部組織となりました。
行政園区は清々しく静かな環境に恵まれています。もともとこの場所にはカイヅカイブキやガジュマルの老木があり、多くの野鳥が活発に活動しています。図書館はこの緑豊かで生気溢れる雰囲気の中、今後も文史芸術専門の図書館としての特色を継続的に発展させ、院内職員や研究者、専門家、ご利用の皆さまに質の高いサービスを提供します。 
最終更新日:2023-03-10